1.妖精の指輪

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「恭子さんからの呼び出しで、事務所に来て欲しいとのことよ。  今日はここ何時まで?」 「あと30分くらいかな」 「じゃあ終わったら声をかけてちょうだい。客席にいるから」 「了解。  ちなみに内容は知ってるのか?」 「さあ?  事務所に来たら話すとしか言ってなかったし」  まぁ、あの人ならそう言うよな。  面倒なことじゃなきゃいいんだが…… 「じゃね。  それとあの子が凄いこっちを見てきてるわよ」 「ん?」  指さされた方向に視線を向けると、セリがちらちら俺達を見ながらテーブルを拭いていた。  同時に俺と会話していた女の子は商品の乗ったトレイを手にし、清楚感のある長い黒髪を翻して空いている席へと移動した。  すると入れ替わるようにセリが戻って来て、 「あの人と随分親しげに話していましたけど、誰なんですか?」  開口一番そんなことを聞いてきた。  何となく棘があるのは気のせい? 「いや、ただの知り合いだけど……  いきなりどうしたの?」 「何でもありません」 「そ、そう?」  プイと顔を逸らされてしまう。  俺別に何もしてないよな?  そのまま上がり時間まできっちり仕事をこなし、店長に促されて今日のバイトは終了した。
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