18人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃ、セリも気を付けて帰るんだぞ」
休憩室にて軽く雑談を交わした後、勤務中に来た少女を迎えに行くため、長居せずに出て行こうとする。
「はい。でしたら送って……たら……のに」
「ん?」
「何でもありません。
お疲れ様でした」
「お、おう。お疲れ」
機嫌治ったかなと思っていたけど、まだ少し悪いな。
あまり刺激せずに退室するとしよう。
休憩室を後にし、再びワクドの店内へ。
もちろん従業員用の出入口ではなく、お客さん用を使用する。
カウンターにいる店長へ軽く会釈をし、客席を見回す。
すると小説を開いている例の少女を発見し、近付いて声をかける。
「悪い、待たせたな陽菜」
「別に問題無いわ。
面白いものも見せてもらったしね」
この烏の濡場のように艶やかな黒髪の少女は、紫之宮陽菜(しのみやひな)。
セリと同等以上の美人であり、年齢は俺と同じでありながら落ち着いた雰囲気を持っている。
実際に冷静沈着な性格であり、頭の回転も非常に早い。
仕事仲間として頼りになる存在である。
今日は白のブラウスに薄いピンク色のカーディガンを羽織り、黒を基調としたスカートを纏っている。
最初のコメントを投稿しよう!