1137人が本棚に入れています
本棚に追加
/457ページ
ずっと。
ずっと、言えずにいた一言だった。
だけど、今、なんだ。
言葉にすべきは、声に出すべきは今なんだ。
「……頼む」
自分にどうしようもないのなら、誰かの力を頼るしかない。
今までだって、世話になってきたはずなのに。
『助けて』
この言葉だけは、素直に言えずにいた。
最後のプライド?
「……バーカ」
いや、違う。
知っていたからだ。
「当たり前だろうが」
勝に頼るということは。
今まで見て見ぬふりしてきた全てのことと、向き合わなければならないということだから。
「……15年だ」
竜也は、それが怖かったのだ。
だからこそ、ずっと言えなかった。
「その言葉……。
15年、待ってたっつーの」
最初のコメントを投稿しよう!