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「ウソつきじゃ!!何処の神もウソばかりつくのじゃっ!!」
そう言いながらはらはらと涙を流した。
天使たちはどうしたものかと眺めている。
そこに女性の天使たちが舞い降りた。
「まぁまぁ、こんなに泣きはらして、」
そう言って泣きすぎて小さくなってしまった体を抱き上げた。
「遠い世界の神よ、ワタシの胸で、今は疲れを癒しなさい」
「どういうことです」
ウェーブのかかった天使の問いにわらわらとゆりかごを囲んでいた天使たちが答える。
彼女たちはおしゃべりで愉快で母性あふれるそしておしゃべりな、女神たちである。
「どうもこうもないわ」
「私たち祝福の神が来たのよ」
「一目瞭然だわ」
「どうして男ってこんなに鈍いのかしら」
「仕方ないわ男なんだもの」
「どうしてこんなに拙い者たちを見て放っておけるのかしら」
「しょうがないわ男なんだもの」
歌うようにしゃべる天使たちに男の天使たちはため息をついた。
「まぁ、可愛い!!」
ゆりかごを覗きこむ。
一人がゆりかごの中の赤子を抱き上げた。
「貴方に神の祝福を」
そして頬に優しく口づけをおとす。
次はワタシが!!次はワタシ!!と、順々に祝福していく。
赤子はきゃっきゃと笑う。
その様子を見ていた男の天使たちがうずうずとしだした。
耐えかねた一人が剣を抜き、自らの羽にあてがった。
それを女の天使たちは呆れた目で見た。
「男はやぁね」
「野蛮だわ」
「なっ!!」
「与えすぎはよくないのよ」
「普段祝福しないから加減がわからないのね」
「ぐっ…」
「でもすごいわ」
「この子が男に母性を芽生えさせたのね」
「この子が愛を溢れさせたのね」
「…それならば…我々は羽を…」
男の天使たちは自分の羽に中から1枚抜き取るとそれにそっと口づけをした。
この赤子に神の祝福を。
すべては神の御心のままに。
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