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ため息を付いてベッドから降りた。
シャワー室に向かう。
鏡に写った自分を見て舌打ちをする。
セットする前でだらんと目を隠す前髪。
寝不足のせいか、ストレスのせいか、もともとなのか、目付きの悪い、まさに悪人面。
190センチごえの身長、逞しい体。いい具合に焼けた肌。
どこからどう見ても二十代後半の男。
男。
男なのだ。
それなのにあいつは・・・
バン!
ジャー!!
ワシャワシャワシャ
「畜生!!なんでまりあなんて名前つけたんだあああああ!!!」
事の発端は数ヶ月前。
『色々あって』クソみたいな人間どもに封印されていた俺は、急にやって来たあのちびすけに封印を解かれた。
封印を解いたちびすけに自分の寝床に連れて行かれ、しばらく療養していた。
その間、色々わかったのだが、あいつはどうやら人間ではないらしい。
まぁ、それはともかく。
体も調子を取り戻してきた頃、急にちびすけが苦しみだして、森の精霊王(というか森そのもの)の声がどこからとも無くして来て、
どうやらちびすけは俺の封印を解いたせいで呪い返しを食らったらしい。
ドン!
「そもそも封印の解き方は知っていたくせになんで呪い返しのことは知らなかったんだ!!そもそもそんな厄介な封印をした人間が悪い!」
コーヒーカップを怒りに任せてテーブルに置く。
ちびすけがそのままなんて気分が悪い。
俺のせいみたいじゃないか。
だから森の精霊王になにかないかと聞いたら、魂の契約を結べば緩和できるというじゃないか。
だから俺は迷わず契約を結んだのだ。
その契約の過程に名前をつけるっていうのがあることなど知らないままな。
おまけに魂の儀式で付けた名前は一生変わらないらしい。
というか魂の契約自体一生消えないらしい。
そして俺はちびすけにアンジュソレイユという名前をつけ、
ちびすけは俺にマリアなんて名前をつけやがったのだ。
それから俺はマリアだ。
この見た目でな。
「畜生!!ちびすけ!!起きやがれ!!飯が冷めるだろうがぁ!!!」
「む・・・・」
きぃいぃぃぃぃ!!
と、怒りながら作った朝食をテーブルにおいてちびすけを起こしに行く。
いつもの朝だ。
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