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「アラスカに行ったの、覚えてるよな?何でアラスカだったか覚えてるか」 「……いや」 「そうか。俺も覚えてなくてさ、ずっと考えてたんだよ。で、思い出したんだが……」 特に聞きたいとは思わなかった上に、ちょうど眠気が脳を包み込んだので結局その答えは聞かずに終わった。 別に酷い弟だと思われても構わないし、兄も別に気にしなかったらしい。 それ以降その話題を持ち掛けて来る事は無かった。 日本に着いたのは昼前で、ひとまず食事を摂るべく時差ボケに難儀する兄を引きずって空港内の適当な店に入った。 そこで耳にしたのはクイーンズ・イングリッシュの喧騒(と言うには穏やかな方だが)。 何と無く目をやるとほぼ全く同じ顔をした若い男の2人組がテーブル席に就いていた。 十中八九、双子である。 それなりに広い世界で生きてきたつもりだが、自分達以外の双子を見た事はほとんど無い。 物珍しいと思う訳でも無いが、その双子の1人はどうやらそう思ったらしい。 ふと目が合うや否や花が開いたような笑顔を浮かべ、立ち上がって近付いて来た。 失礼だとは思うが、人懐こい犬を彷彿とさせる。 .
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