僕と彼女と-2-

2/20
前へ
/211ページ
次へ
「…じゃなくて… 何であんな危険な場所に…」 「………」 すると彼女はポケットから メモ帳を取り出し、そして 何かを書いていた。 「………?」 僕はそれを覗き込むと、 それに気づいた彼女は メモ帳を胸に持っていった。 そして、頬を膨らませ 不満そうな表情をして、 背を向けて何かを書き始めた。 …見て欲しくなかったのかな? 「…あの、君は…」 彼女を呼びかけようとすると、 彼女はこちらを振り向き、 そして小さな紙を僕に向けた。 『名前は?』 「…僕は、乾優太… …じゃなくて、何で君は あんな所に…っ」 僕の言葉に耳を傾けず、 彼女はメモ帳をめくった。 『私は秋月麗華。 読み方は、アキツキ、レイカ』 「え…あ、うん… …じゃなくて!」 何故か彼女のペースに飲まれて、 本題に戻れない。 『理由なんか無いよ。 良かったら、階段を下りるまで 送ってもらえないかな?』 「あ、うん… 立てる?」 座っている彼女に手を 差し伸べると彼女はメモ帳に ペンを走らせ、僕に紙を見せた 『おんぶして』 車椅子に乗ってるだけあって、 足腰が弱いのかもしれない。 無理に立たせるのも悪いし、 おぶるしかないかな。 「大丈夫? …よいしょっと」 彼女をおぶって、屋上から 出ていき、階段を下りる。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加