僕と彼女と-2-

3/20
前へ
/211ページ
次へ
一階まで降りて、置いてあった 車椅子に彼女を座らせた。 「…秋月さんも、もう 病室に戻った方が…」 『麗華』 これは、麗華、と呼べと いっているのだろうか? でも、初対面だし、まだ 呼び捨てだと… 「麗華、さん」 『麗華』 持ち上げていた麗華とだけ 書かれている紙を下げなかった。 呼び捨てでいいのかな… 「麗華…」 すると麗華は紙を下ろして、 満足げに笑った。 すると麗華は紙に ペンを走らせていた。 『ゆうた。 漢字は?』 「漢字は… 優しい、の優に、 太い、の太だよ」 すると、麗華はまた紙に ペンを走らせ、両手で口を 隠すように紙を持っていた。 『優太、これで合ってる?』 どこか心配そうな表情なのは、 合ってるかわからないからだろう。 でも、簡単な漢字だし、 実際合ってるからね。 「うん、そうだよ。 …あ、そろそろ帰らなきゃ」 携帯を取り出して時間を 確認すると、もうそろそろ暗く なっていく時間だった。 『連絡先、教えて?』 麗華もポケットから携帯を 取り出していた。 「…いいよ。 赤外線でいい?」 僕がそういうと、麗華は 携帯をポチポチ押して、 すぐに麗華の連絡先が表示された。 「よろしくね、麗華」 麗華はそれにコクコクと頷き、 携帯を眺めていた。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加