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「ふぁ…ぁ…」
あの後、寝る前に麗華と
メールしてたせいで、
夜更かしをしてしまった。
朝には強い方だけど、
さすがにキツいかな…
「ん…」
パンをトースターに入れて、
テレビをつけると、そこには
都会の様子が映っていた。
「…人、多いなぁ…」
都会の大きい横断歩道に、
数え切れない程に人が歩いていた。
スーツを着てる人や、私服で
遊びにきてそうな人。
中には派手な服を着て、とても
チャラそうに見える。
「そういえば、携帯も
お父さんが都会から買ってきて
くれたんだったな…」
お父さんが仕事で都会の方に
出張してた。
その時にこのタッチパネル式の
携帯を買ってきてくれて、
本当に喜んだ記憶がある。
でも、そんなお父さんも
もういないんだけど…
「…はぁ…」
お父さんは出張先で、
交通事故に巻き込まれ、
亡くなってしまった。
その時はとても悲しかったし、
涙が溢れて止まらなかった。
「…着替えよ」
パンが焼ける音がしたが、
時間も迫ってるし、先に
着替えといちゃおう。
「…もう時間ないや」
時計を見るともうそろそろ
出なくちゃいけない時間で、
すぐに制服に着替えて、
パンを銜えた。
「…いってきます」
返事のない、誰もいない家に
小さく言葉を発して、家を出た。
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