僕と彼女と

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――――チャイムが鳴った。 それは、いつも通りの日々で、 面白くも、楽しくもない日々。 僕は乾優太(イヌイ ユウタ)。 高校二年で、十六歳。 成績は悪くも良くもないし、 見た目だって普通。 特別運動神経がいいわけでもない。 目立つ何かがあるわけでもないし、 本当に、平凡な高校生。 もう聞こえる声もない。 さっきのチャイムは、学園の 授業が終わるチャイム。 もう、教室に誰もいなかった。 「………」 席を立ち、窓の外を見ると、 綺麗な夕日の下に、友達と 一緒に帰る人々がいた。 僕には、そんな人もいない。 自分から誰かに話しかけないし、 誰かが僕に話しかけても 得するわけでもない。 面白くも、ない。 だから、僕は毎日一人だ。
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