僕と彼女と

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お母さんと喋りながら、 僕はベッドの横の椅子に座った。 「そうそう、優太は 一人で大丈夫なの? …ごめんね。 一人で寂しいよね?」 「…大丈夫だよ。 僕は一人でも頑張るから、 お母さんも頑張ってね」 「…ふふ、いい子ね」 お母さんから述べられた手が 僕の頭を撫でていた。 「………」 「………」 喋る話題が無くなり、お互いに 沈黙していた。 中学二年生の頃から毎日 来ていれば、話す事も無くなる。 「…学校生活は、どう?」 「…普通だよ。 気にしないで大丈夫」 「友達は…いるの?」 「…いるよ」 いないよ、お母さん。 でも心配しないように、 こういうしか無いんだ。 「あなたは自己主張が苦手だから、 友達とも、ちゃんと付き合って いけてるの?」 「…大丈夫だって、お母さん」 さすがお母さんという所だろうか。 昔から僕を育ててるだけあって、 僕の事をよくわかってくれてる。 「…そう、それなら安心ね」 「うん。 それじゃあ、また明日来るね」 短い時間だったけど、生気の 無いお母さんを見てると涙が 出てきそうで耐えられない。 僕はお母さんが返事をする前に、 病室を出た。
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