LOT.2 蓮水夏希&向日葵

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 オークション会場は、静寂に包まれている。  並べられた椅子に座る参加者たちは、上等な身なりで、落ち着いた素振りをしながらも、その心の奥には静かな欲望が渦巻いている。  今夜、一晩だけの恋人を手にしてやろう……、そんな、淫靡な欲望が。 「皆さん……、双子の姉妹を、一度に味わってみたいと思いませんか」  オークショニアーのその言葉は、男たちの好奇心をかき立てた。  会場に、低い歓声が上がる。 「次にご紹介するのは、たいへんお買い得な商品です」  オークショニアーはゆっくりと、もったいぶるように言葉を続ける。 「こちらは、二人セットの商品となります。二人まとめての落札額を、コールして下さい」  男たちの視線が、薄暗いステージへと注がれる。  そして、静まり返った会場に、響きわたるほどの大きな声が放たれた。 「ロットナンバー2番、蓮水夏希、蓮水向日葵!」  その声とともに、いくつもの照明がステージへと向けられる。  たくさんの光を浴びたステージが、金色に輝いた。
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