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そのあと、わたしが向かったのはオークション会場だった。
ちょうどオークションが始まる頃、その場所に着いた。
スタッフ専用の出入口から入ったわたしは、足早に控室へ向かった。
廊下の両側に、商品である女性ごとの控室が用意されている。
ステージ側から2番目の部屋の前で、わたしは立ち止った。
ドアの横に、二人の名前が記されたプレートが掛っている。
『蓮水夏希・蓮水向日葵』
そのドアを開けると、部屋の中央に彼女がいた。
夏の夕日みたいに鮮やかな赤いドレスを着た彼女が、背を向けて椅子に座っていた。
そしてぼんやりと、壁の方を眺めている。
彼女の視線の先にあったのは、壁に掛けられた黄色いドレスだった。
太陽に向かって咲くひまわりの花みたいな、黄色のドレス……
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