バスケットボール

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ダムッ!! ダムッ!! と、ボールが跳ねる音がした。体育館のステージの隅っこでぼんやりと眠りこけていた私は、ああ、またかとボールの跳ねる方向に目を向けた。 バスケットボールをドリブルさせながら、少年が走っていきある程度を来るとシュートを決める。素人の私には彼がうまいか、下手なのかわからないシュートされたボールはゴールに入ることなくリングに弾かれて見当違いの方向に飛んでいき、彼は追いかけていく。 この繰り返し。彼は放課後、この体育館でたった一人でシュート練習をしている。その行為を彼はほぼ毎日、続けていた。彼はバスケ部なのだろうが、私は彼、以外の部員を見たことがない。勝手に学校の備品を使ってはいけないはずだからバスケ部で間違いないはずだ。まぁ、そうじゃなくてもどっちでもいいが、私はステージに腰掛けて足をブラブラと揺らしている。 「また、見ているのかい? 君も好きだね」 といつの間にか、背後に初老の男がニコニコと笑いながら言う。丸い顔に砂漠化の進む頭は痛々しくいが何よりも目を引くのは彼の身体が透けていることだ。  「別に好きじゃねーよ。こんなの暇つぶしでしかねーし。あんなの毎日、続けるバカなんてなかなかいねぇしな」 「まぁ、そうだね。真面目というより、それしかないって感じだ。愚直というかねー」 「何が言いたいんだ?」 「いやぁー私達、幽霊には永遠と言える時間があると思っただけさ」 私の背後で初老の男がフワフワと身体を浮かせてニッコリと笑う。 幽霊。死んだ人間、あの世にいけない魂となんとでも言われるが、そういう連中はそこらにゴロゴロいる。一匹、見れば三十匹いると思えとまではないが、この広いの世の中、ゴキブリのように人が溢れかえる世界は同じように幽霊だって溢れかえっているだけのこと、私はあの世に行ったこもがないし、あるかどうかもわからない。しかし、この世に霊なんて掃いて捨てるほどいる。実際、この初老のジジイも学校の校長だったらしい、この世に居続ける理由は子供を見守りたいからと一歩間違えば通報されかねない理由だった。まぁ、そうやって明確に理由があるほうが少ないくらいで、大抵はめんどくさいとか、かったるいとか、かくいう私もその中の一人だ。 いつからこの学校に居たかも、名前も、過去も全て擦り切れて忘れてしまった。ただの魂として学校に居座り、日がな一日、ぼんやりする、
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