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ストレートにわかりやすく言葉を選ぶ。
「よーするにお前、邪魔だから出ていけってことだろ?」
男が肩をすくめて苦笑いした。おおむね正解のようだった。答えなんて求めてないけれど、人間も幽霊もやることはたいして変わらない、大声で歌い続ける奴を暴力で排除したように、彼らも自分にとって目障りな奴を排除したい。それだけだ。手段が違うだけ、暴力か、話し合いかだ。
「人間同士の争いに私達が割り込むことなんてできねーだろ」
「おや、君はずいぶんと彼のことを気にかけていたようだけれど、つめたく突き放すのかい?」
「突き放すもなにも、私とあいつは話したこともないんだぞ」
暇つぶしの相手がいなくなるだけ、それだけだ。
「君がそう言うのならそれでもいいが、この話には続きがあるんだよね。私物化だと言ってきた連中はバレー部を設立しようとしているようだけれど、バスケ部の彼も譲らなかったらしいんだよね。まぁ、バレー部なんて言うけれど、ほとんど未経験の不良集団なんだ。この意味がわかるかい?」
「さぁ? 知るかよ」
「溜まり場が欲しいそれだけの理由さ、目障りなバスケ部の彼をどかして、バレー部としての隠れ蓑を被って裏でいろいろやるつもりだね」
「私には関係ないね。どうなろうが、知ったことか。幽霊なんだ」
「とそこで、彼はこう言ったらしい、じゃあ、勝負しようじゃないかとね。わかりやすい話が体育館の使用権をかけて対決ってなったわけだ。、種目はバスケットボール。チーム戦ではなく、一対一の対決を五回、行い先に三回、ゴールネットを揺らしたほうの勝ち。両者が二対二になった場合は最後の一回で勝負がつく、わかりやすいよね」
「…………………」
「だけれど、バレー部チームはバスケットボールは未経験だと主張してね、経験者の彼とハンデをつけるためにある一つの提案があった。彼が一人とバレー部はは五人で勝負しようとなったらしい、バスケ部は勝手に体育館を私物化してる負い目をついて、その条件をのませた。さて、結果はどうなるかな?」
「バスケ部の奴がバレー部、五人にやられておしまいだろうな」
相変わらず、ボールを弾く音が響く。あいつは自分の居場所が奪われるかもしれないのに変わらずバスケットボールをついている。そこには確固たる芯のようなものがあった。流れる汗も真剣な横顔も好感がもてた。後ろで漂う男が目を細めめた。あーと舌打ち、
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