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桃色の並木が徐々に緑に変わり、
吹く風が爽やかに頬を撫でる4月の第2週。
俺こと橘 月世(タチバナ ツクヨ)は、青く澄んだ空の下に立ち竦んでいた。
目の前には巨大な門。
俺は今日からこの…『篠崎学園』に編入するため、前日に指定された午前8時5分前に裏門に来ていた。
10分前行動5分前完了は基本だからな。
8時に裏門に案内役が来るからと説明されていたが…どういうわけか8時を過ぎても誰も来ない。
門は開かないし、呼鈴もないしで、どうしたもんかと荷物片手に立ち尽くす。
8時を10分まわった頃、
裏門の前、つまりは俺の後ろに一台の車が滑り込んで来た。
黒塗りの…たぶんリムジンの後部座席から降りてきたのは…
「じゃあな、静流さん!!」
…黒い毬藻。
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