第7章・繋がりの輪になって②

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【あまりビール飲み過ぎないように体大切にね】 あたしも美和もパスタが好きなせいか差し入れは、パスタが多い。選べるように冷製パスタ、チンするパスタって普通に嬉しい。 【体大切にね】 手紙に書いてあるとうり牛乳やヨーグルト、フルーツジュース。 あたしが飲む事を知ってチーズのツマミ。 そして冷凍庫には長めにチンする冷凍パスタ、アイスクリーム。 手紙の怒りはおさまらないけどあたしの事を考えて買った事がわかる。 涙腺がゆるみそうだ、さっき泣いたせいもあるけど。『拓也も忙しいのに成瀬くんにあたしが近々来るって聞いて用意してくれたの?さすが根回しが良いわね』冷蔵庫の中を見てたら横から姉貴が覗き込む、少し横にずれ姉貴と2人で冷蔵庫の中を見ていた。 『姉貴、これはあたしじゃなくて…』 『ん?何?拓也』 テーブルに座り佳那子姉のコンビニ惣菜・美和の冷製パスタを食べながらテレビを見る。 『ビールを買った本人が飲まないってどういう事?』あたしが買ったビールを姉貴にあげたのを不思議がっている。 『ん…まぁ何となくウーロン茶で良いかな、って』 『ツマミにウーロン茶ねぇ…この冷製パスタ美味しいわね、何処で買った?』 『姉貴…冷蔵庫冷凍庫の物はみんな美和が、あたしらがいない時に差し入れてくれたみたいで冷製パスタもあたしには何処で買ったのかよくわからない』 『拓也の為に?あたし達2人の為に?』 『美和は姉貴が来るって知らないから、あたしの為に差し入れてくれたんだと思う』 『付き合ってきた女達にはいないタイプね』 『美和はそういう娘(こ)だから、ご飯後も律儀に車の中で払おうとする。そういう所も惹かれたのかもしれない』 『社会人?』 『まだ高校生、だから余計に払う姿勢がけなげで。またご馳走してあげようって気持ちになるのよ』 だからこそ【さよなら】は許せないけど… 『拓也はそういう娘(こ)が合っているかもね』 少し照れる…かなり照れる… 『部屋の掃除も洗濯も美和なんだ』 姉貴は改めて部屋を見直し笑った。 『頼んだの?』 『ううん、美和とは1週間近く話をしていないから頼むも何も…』 『せっかく差し入れてくれたんだから美味しい内に食べようか』 『うん…』 テレビよりもご飯っていう気持ちになるそんな夜食。ありがとう美和… ご飯も終わり片付けも終わった頃、姉貴が笑いながらトイレから出てくる。 あたしを見てさらに笑う。
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