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目を開けると白い天井があった。
ギシッと軋む音に、自分がベッドに寝ているのだと気づく。
「やあ、目覚めたかい」
声のする方に顔を向けると、大神出雲が立っていた。
白い布で腕を吊り、彼が骨折しているのだと推測した。
「いず……も、さ――ッ!」
起き上がろうとすると、全身に痛みが奔る。
視界が明滅し、四肢がまともに動かなかった。
「無理するな。君はまだ疲労が抜けてないんだ」
出雲の心配する声に、蓮也は首を微かに振った。
「ここは……?」
「ああ、安心していい。ここは安全だ」
具体的な場所を言わない出雲に不審さを感じたが、蓮也は何も言わなかった。
それより問うべき事がある。
「出雲さん。琥珀は、無事なんですか……?」
言うと、出雲が僅かに目を瞠った。
「君は……、あの時の事を記憶しているのかい?」
蓮也はコクン、と頷く。
朧気(おぼろげ)だが、あの出来事からまだ日が浅いはずだ。
出雲は「そうか……」と呟いて、ため息をついた。
「君は僕を恨んでいるか……? 君の両親を殺し、円君の人生を狂わせた僕たちを……」
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