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とん、と出雲は蓮也の心臓部に指を触れた。
「円城円には、円城蓮也が必要だ。君が抑止力となって、円城円をコントロールするしか現時点では手立てがない。解るな?
もう一度言うぞ。
君が、円城円をコントロールしろ。
君が、円城円の――アバターの使い手になれ。
最愛の姉を殺人鬼にしたくなければ、君が人として、正しい道を歩め。
でなければ、教会の〝断罪者〟は容赦なく襲いかかってくるぞ」
出雲は骨折した腕を蓮也に見せる。
包帯に巻かれた腕は痛々しい。
「……その〝断罪者〟っていうのは、教会の何なんですか? そもそも『教会』って、何なんですか?」
蓮也の質問に、出雲の表情が凍りつく。
穏やかな笑みが、完全停止した。
数秒間の沈黙の後、やがて出雲が口を開いた。
「……君には、全てを知る権利がある。……いいだろう、話してあげよう。教会を――過去の僕の過ちを、ね……」
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