第四章

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
 ――遠い夢をみた。    俺と円、琥珀の三人がまだ一緒にいた日の事。  俺は親から教わった剣技を円の前で披露していた。  円は怒り、俺から剣技の使用を禁じた。  両親から異端狩りの技術を習っていたのを、円は知らなかったらしい。 『蓮也はこんな危ない事をしなくていいの』    後にも先にも円が怒ったのは、この一件だけだった。    俺は円が嫌うという理由だけで、剣を捨てた。  そういえば、俺は、なんで子供の頃の記憶を失っているのだろう。  夢の中ではこんなに鮮明に憶えているというのに……。  あの時、俺がしっかりしていれば姉さんを救えたのに……。  円……。  俺は姉さんを救えなかったよ――   「う……」  眩い陽光の日差しに、蓮也は思わず呻いた。 「起きたかい?」  声のする方を向くと、大神出雲が椅子に座っていた。  彼の顔を捉えた瞬間、蓮也はハッと意識が鮮明になる。 「出雲さんッ! 竜二はッ!? あいつは、いまどうしてるんですかっ!?」 「落ちつけ蓮也君」  掴みかかる蓮也を、出雲はなだめる。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!