希望の迷宮

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  「とどのつまり、この薬品を摂取した者は、強い興奮や緊張……そして、憤怒、絶望、悲愴という様な、そういった強い『負の感情』を、一定の周期で抱かなければならない、という事です。此処まで説明すれば、君達がこの迷宮でずっと抱いていた疑問も少しは解決するんじゃないかな」 「…………」  何故、こんな場所に閉じ込められたのか。その答えを、僕は迷宮を進みながらもずっと探していた。  それが、自らを救うためだった等とは、気付かぬままに……。 「……でも、それなら、先に言ってくれれば良かったじゃない。貴殿方はこういう病気で、治療のためにこんな事をしなきゃいけないって……」 「それでは絶望が薄れてしまうだろう。初めから内容の解っている悪戯等に、誰が本気で感情を揺さぶられると言うんだい」 「……」  即座に返されて黙り込む叶に、浅倉は更に続ける。  
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