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「おいおい一年坊主ども。手加減無しでさせて貰うぜ」
《ベシ!》
勢い良く振り上げた手を、容赦なく翔太へと振り下ろし
冬樹から翔太を引っ剥がした良風が、翔太の尻を蹴飛ばした
「テメェ、糞ジジイ!」
目を吊り上げ怒る翔太を無視し、冬樹の緩やかな線を描く頬を撫で
「お兄ちゃ~ん。負けちゃった! って、泣かせてやるよ」
夏樹をチラリと見て、冬樹に視線を戻し挑発的に笑う
ハア!? 何言ってんの
「泣くわけないでしょ! 馬鹿にしないでくれる」
男の気をそそる色濃い気配を消し去り
獰猛に牙を剥く肉食獣の鋭さを纏わせた冬樹の顔を、良風が膝を折り下から覗き込む
「へえ? 俺に勝てるってか」
腹立つなー!
小さい子ども相手にする態度
絶対に! 止めさせてやるからね
「じゃあ、先に謝っておこうかな。良風さんに俺は抜けませんよ」
「生意気なんだよ!テメェは」
長い人差し指で、トンと冬樹の額を突き
男っぽい魅力的な笑みを残し、2.3年の集合場所へと歩いていく良風を
ベー、赤い舌を出して見送る
さて・・・・・・、勝つために考えないと
パワーのある雅史は、チームに入るだろう
抑えられるのは・・・・・・あれ?
哉太はどこに
翔太と違って、哉太が遅刻するのはあり得ないんだけど
居た・・・・・・ぷっ、くく
「哉太らしいなぁ。夏樹と一緒にボール磨きしてるよ」
しかも、ピッカピカ
ボールを高く掲げ、満足そうに頷いてる
彫りの深い男前に対抗心を燃やしたのか、小さな手を懸命に動かし
ボールを磨く夏樹が、可愛い
ずっと見詰めていたいけど、次を考えないと
パワーの雅史には、パワーとスピードのある哉太で決まり
識別能力の高い裕也には、リズム感の良い隼登
三年と額突き合わせ、ニヤニヤ雑誌を見て腰くねらせる隼登に
若干、不安を感じるけど
・・・・・・うん。大丈夫、の筈
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