始まりの章

6/6
152人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
コートの隅で照れ笑いした夏樹が、晃平さんに差し出されたジュースを飲んでいる 夏樹に・・・・・・ 普通の生活をさせてやりたい 貢ぎ物としてではなく 一人の人間として 「うし! しっかりしないと」 パンッと両頬を叩き、気合いを入れた 夏樹を守るためにも、強くなりたい 「どう? まだ男に襲われそうに見えるかな」 聞かなくても分かるけど、念のため 「いや、下手に手を出したら、掘られちまいそう」 「ふふん、掘っちゃうよ。夏樹を守る邪魔になるなら、誰であってもね」 誰にも、邪魔はさせない 夏樹の輝く笑顔を守ってみせる 「コラァ!大成、一年にポジション取りで負けてんじゃねえ」 ありがとう裕也さん 今ので隼登がフリーになった 「ナイスパス!冬樹」 「リバウンド!リバウンド取れ」 綺麗なフォームからのシュートだ 絶対に、入る 「ナイッシュー、隼登!」 あー、面倒なのが来た 「退けよ。テメェーは」 ハーフコート地点で足止めされ、苛立つ俊彦が冬樹に怒鳴ってくる 退けと言われ「はい」なんて、返事するわけがない 「可愛い顔が台無しですよ。ほら、にっこり笑って?」 あれれー? 眉間のシワが増えちゃった 「俊彦!」 逆サイドにいた良風が、雅史をスクリーナーに使い俊彦の後ろから出てきた 「貰った!」 ホッとした俊彦の一瞬の油断を突き、奪い取ったボールを 素早く反応した哉太へ、パス 「ボケ、大成!早く翔太をかわせ!」 「冬樹!」 「ナイスパス、哉太」 よし、このまま加速して あ、夏樹が見てる だったら・・・・・・、シュート決めちゃえ ピッタリついてくる俊彦をフェイクでかわし、シュート 「冬樹!スゴーい。格好良い!」 そんなに拍手したら、手が腫れちゃうよ 「ありがとう夏樹!また応援してね」 毎日来て、毎日応援して 俺に・・・・・・、輝いた笑顔を見せ続けてよ
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!