第1章

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公園で膝を抱え泣き明かし、ヨロヨロ立ち上がる ・・・・・・行かなきゃ インハイ出場をかけた大事な試合 せめて、バスケだけでも 頑張らないと・・・・・・ うっすら染まった目元 苦しげに、薄く開いた朱い唇 哀しみに歪んだ美しい顔 気弱に揺れる瞳を動揺に翳らせ、ボールをキープする冬樹を ディフェンスが取り囲んでいく ・・・・・・糞、何処へ 「冬樹!こっちだ」 翔太の声・・・・・・、ガキの頃から一緒にバスケをした仲間だ 何処へ居るかは気配で分かる 支配していたボールを翔太の動きをイメージし、ディフェンスをかわした瞬間ノールックでパスを放つ ーーー頼む、翔太 「ナイスパス!」 一気に踏み込んだ長身が、ディフェンスをかわしゴールを決めた 拳を突き上げ、俺を見てウィンクしてくる バーカ、格好付け過ぎなんだよ 「冬樹、一人じゃねえんだ。ボール取られても、シュートはさせない。俺らを信じて動け」 「はい。勇さん」 駄目だ。ボールキープの時間が長い 息が・・・・・・、上がって 糞ッ、ヤベェ! 14番の肘がわき腹を狙い、鋭く迫ってくる 「冬樹ッ!」ーー避けれない 「ファウル!赤14番」 イっーーーッ、ツゥ 息が詰まって、受け身が取れないまま コートに、打ち付けられた 嫌だなあ・・・・・・ あんなのも、避けれねえの 「おい! テメェ、わざと冬樹の腹、殴っただろうが」 バカ翔太 ソイツのユニフォームを掴むな お前が退場になるでしょ 「止めろ! 馬鹿が。試合中だ」 すみません。勇さん その馬鹿、お願いします 「ちょっ、止めて。姫抱きって、何の嫌がらせですか」 「うるせぇな。黙ってろ」 え・・・・・・、ちょっとヤダ 「冬樹、ユニフォーム捲るぞ」 雅史さん鼻息荒すぎ、怖いから止めて 「ん・・・・・・、寒い。そんな上、殴られてません」 ユニフォームの捲り方が、厭らしい 胸までスースーする 「んっ」ーー、爪が・・・ わざと? じゃ、ないよね 「キャー、冬樹君が襲われてる」 襲われてないから、多分 誤解受けるような歓声は止めて 「チッ」 大成さん、観客に舌打ち? 翔太は、こっち見るな。試合に集中してろ 勇さんも、目を据わらせて、交代しようとしないで下さい
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