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ふと、義くんの肩越しに視界に入ってきたもの。
「学っ!」
あたしの声に義くんも振り返る。
「凛、帰るぞ」
学はそう言って、そのまま背中を向けて先に行ってしまった。
「ちょっ、学っ、待って!」
中途半端だった帰り支度を慌てて済ませて、
「義くん、またねっ」
そう声をかけて、走って学を追いかけた。
うしろから、義くんの「凛、頑張れよ」という声が聞こえた。
結構すぐに教室を出たはずなのに、なかなか学には追い付けなくて。
やっと見つけた背中は、もう既に靴も履き替えていた。
「学っ、待って」
外へ出ようとする学に声をかけて、あたしも慌てて靴を履き替える。
漸く学に追い付いたのは、外へ出てからだった。
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