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外へ出てオレンジに染まる空を見たとたん、大粒の涙がぽろぽろと溢れてきた。
いつか学と想いが通じる日を夢見ていたのに。
『俺に女ができるまで相手しろよ』
もう叶う日が来ないのかな。
俯きながらとぼとぼと足を進めた。
あたしの家はここから徒歩一分ほどの場所にある。
凄く近いはずなのに、今は、今の学とあたしの心の距離を表すように凄く遠く感じる。
早く家に帰ってしまいたい反面、もしかしたら学が追いかけてきて、
『さっきのはジョークだから真に受けんなよ』
って言ってくれるかもしれない……なんて、あり得ない期待もしている。
なんて、馬鹿なんだろう。
さっきの態度は、どう考えてもジョークには見えない。
学の性格上、そんな冗談は凄く嫌いなはずだから。
そう思うと、やっぱり現実だったんだと凄く胸が痛くなった。
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