幼馴染みでいいから

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ひとつ角を曲がったら、少し先に自宅が見えてきた。 たぶんお母さんが帰っているはずだからと、手の甲で溢れ出る涙を何度も拭うけれど、全然追い付かなくて。 その場で足を止めて、涙を止めようと必死になる。 「凛?」 そんなとき前方から聞きなれた声が耳に届いてきた。 「あ、義(ヨシ)くん……」 「泣いてんの?」 顔を上げて名前を呼んだあたしに、義くんはゆっくりと近づいてきて、心配そうに眉を寄せながらあたしの顔を覗き込んできた。 義くんこと義明(ヨシアキ)くんは学の親友。 だから余計に、学とあんなことがあったなんて言えるわけがなくて。 「学と、なんかあった?」 けれど、今日も学とあたしが一緒に帰ったのを知っているし。 なんといっても、学の家の方から歩いてきてるんだから、何かあったと思うのは当然のことなんだ。
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