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――それは付き人のスヴェートから上がった一つの報告だった。
「神官様…報告致します。」
何時もよりも堅い口調の彼女に不安を覚え、向き直り続きを促す。
その報告は。
「先程、北壁前にて他勢力の構成員と思われる者と遭遇。戦闘には発展致しませんでしたが、侵入された、と言う事を報告しようと思い…」
「北壁…確か外部から入れるようになってる山間の谷の……わかった。侵入者の詳しい説明を頂戴。」
「はい。……スーツ姿の女性で、赤い目と、暗くてよくは見えなかったのですが青灰に近い髪、それから非常に辿々しい口調で話していました。
……そして私の風が効かないとか弱いとか…」
「……わかった。何処の誰か探しておく。ありがとう。」
「はい。では失礼します。」
そう言って退室しようとするスヴェート。
その彼女の背に、僕は
「スヴェート。君の『風』を真っ向から受けて防げるのは同系統の能力者か、恐らく幹部クラスだけだ。
今日は風が弱かった。だからその侵入者に風が効かない、なんて『絶対に有り得ない』安心して。」
「っ…ありがとう、ございます。」
……余計だったかな?
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