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「他にも先輩の好きなものないですか?俺、何でも作りますよ」
スマホを安全地帯に匿い
先輩と向かい合うように食卓につく。
「……そうだな」
念入りにふーふーしながら
長いスプーンを口に運ぶ先輩。
先輩がスープ好きだと知ってから
俺たちの夕飯のテーブルには
丸いスープ皿が並ぶようになった。
「好きなものか……」
先輩がぽつりと呟く。
「俺、意外と先輩の好きな食べもの知らないんですよね。ほぼ毎日、お夕飯作ってるのに」
「俺は何でも食う。何が好きというより、お前が作ってくれる飯が好きだ」
「え……」
俺の手から滑り落ちたスプーンが
テーブルの上でからんからんと転がった。
「おい、どうした?」
先輩が怪訝そうに顔で俺を見る。
「す、すみません…….トイレ行ってきます」
「はあ?」
いやいやいや
何気なく衝撃発言ぶっこまれたら
フリーズしちゃうのも無理ないでしょ。
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