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パチリと目を覚ます。
すぐに視界に入るのは死神が持つような鎌と愛しい人の写真。
部屋の壁全てにぎっしりと貼られた愛しい人の写真は、今日も私の気分を良くしてくれる。
「カグリ様…今日もかっこいい…」
顔を洗って制服に着替えたら、日課のカグリ様の寝顔鑑賞を始める。
パソコンからカグリ様の部屋に取り付けた盗聴器と盗撮器を使ってカグリ様の寝顔を堪能する。
カグリ様は健やかに寝息を立てていらっしゃる。
思わずその寝顔にヨダレが垂れそうになった。
慌てず近くのタオルでヨダレを拭き取る。
ああカグリ様。
愛しいカグリ様。
なんでカグリ様は私のことを見てくださらないんだろう?
私はこんなにあなたのことを想っているのに。
カグリ様に出会った日は忘れたことがない。
あれは5年前のこと。
小さい頃から病弱で、成長も遅かった。
当時私は12歳だったけど、それよりも3歳は幼く見られた。
いつまで経っても幼子としか見られなくて、腹を立てて家出をした。
その時は調子がよく、持病の症状もあまりでなかった。
私は沢山のお菓子と愛用の小さな鎌を荷物に詰めて、意気揚々と家を出た。
今まで周りの人に守られていた私は、外がどれだけ怖いか知らなかったんだ。
夜中に街中を出歩いてた幼い容姿の私など、格好の標的だった。
チンピラだとか、不良だとか、そんな風に呼ばれる怖い男の人たち。
彼らに絡まれて尻餅をついてしまい、身動きできなくなった私を助けてくれたのは私と同い年くらいの少年だった。
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