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『何あんたら。可愛い子に絡んでんじゃねえよ。可愛いは正義っつう名言知らねえの?俺の座右の銘なんだけど』
その言葉を彼が言い終えた瞬間、私の周りの怖い男の人たちは倒れていた。
私はあまりの恐怖で、彼---カグリ様が近づいて手を差し出してくれた時その手を払ってしまった。
今考えればその時の私を殺したいくらい愚かな行動だ。
それでもお優しいカグリ様は私の頭を撫で、
『気をつけろよ?ここらへんはまだ色々と危ないからな、お前みたいな可愛い子が来たら変なのがいっぱい寄ってくるぜ』
私はカグリ様の撫でる手に安心感を覚え、去ろうとするカグリ様の服の裾を掴んでしまっていた。
恐らく、縋りたかったんだろう。
『あー…、送って行こうか』
カグリ様は本当にお優しくて、私みたいな助けてもらったくせにお礼の一つも言えない無礼者を送って下さった。
私はどうしてもカグリ様との繋がりを断ち切りたくなくて、送ってもらった家の前でカグリ様の服の裾を持って突っ立っていた。
するとカグリ様は苦笑し、私の手を優しい手つきで裾から離すと自己紹介をした。
『俺の名前はカグリ。名字は聞かないでくれよ?……この近くに住んでるから、なんかまた困ったことがあったら言え。できるだけ助けてやる』
『あの…わ、私の名前は………ヒマリ……で…す。…その、………助け…てくれ……て…あ、あり…がと…』
私は照れてしまってうまく喋れなかったが、自分の名前とお礼は言った。
『じゃあな、ヒマリ』
カグリ様は笑って手を振り、去って行った。
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