こうげつと書いて皐月です。

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「空港から急に拉致されたんですが。」 「ごめんねぇ」 「坂の下で降ろされたのですが」 「ごめんねぇ」 「歩いて来たんですが」 「ごめんねぇ」 坂上さんと別れた後、これまた長い廊下を歩き続け理事長室に到着した。 「ねぇ、怒ってる?ほんとにごめんねぇ皐月ちゃん。まさか生徒会もそこまで言うこと聞かないなんて思ってなかったんだよう…」 ごめんね、ごめんね、と繰り返す理事長の話を聞いたふりしながら秘書さんが煎れてくれたレモンティーを飲む。 あ、冷たくておいしい。 話を聞いていないと分かったのか、理事長が慌てだした。 なんだって僕仕事できたんだもん。 でも慌てる理事長が面白いので放っておく。 だってこんな綺麗な顔してしゅんとしてるイケメンなんてそうそう見れないでしょ? そろそろ可哀想かな、とリアクションの起こそうとした時。 「分かった!こうしよう!これをあげる!」 そう言って理事長は小切手を取り出すと、サラサラと何か書きだきた。 え?小切手!? 「いや、すいません!少し理事長がフレンドリーなので意地悪しました。お金とかいらないんで!!」 「え?知ってるよ?」 「は?」 そう言って差し出された小切手。 金額の部分に書かれたのは “なんでも一回言うこと聞く券”。 「ね?機嫌直して?」 そう言って微笑みとともに小切手を貰う。 …この人は僕がお金を嫌うと知ってこの行動にでたのか、お金より自分の方が価値があると思ってそうしたのか… 「僕にお願いできるなんて、お金じゃできいからね?」 …どうやら後者のようだ。
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