第11章 ボディーガード②

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「頭を上げて下さいっ……」 それでも頭を下げたまま 振り絞るように悠月さんは言った。 「誰も傷つけたくねえんだ」 「え?」 「ファンもメンバーも……誰も傷つけたくない。もちろんおまえもだ」 一見してクールな外見とは裏腹。 優しさを湛えた深い瞳。 「悠月さん……」 「結局、俺の我儘なんだよ。今日はデビュー後初のファンミーティングなんだ。昨夜の件が警察に知れたら、それこそ取りやめになっちまう。俺のためだけに一生懸命準備したメンバーやスタッフの苦労を無にしたくないし、待っててくれたファンの期待を裏切りたくない。だけど――」 珈琲牛乳にストローを挿す 悠月さんの指先が 「……っ!」 次の瞬間 そっと僕の頬を撫でた。
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