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これから迎える夜のことを考え、いつもより念入りに身体を磨いた。
しかしそれは、『長湯』とまではいかない程度。
髪を乾かしたり、化粧水をつけたり、その後のお手入れに多少時間はかかったかもしれない。
招いていないとはいえ、客人を部屋にひとり待たせるのはどうかと思った。
だから、なるべく早く戻るように急いだつもりだった。
彼がここにとどまるにしろ、帰宅するにしろ、私が部屋に戻らないことにはどうにもならない。
そう考えていた。
――なのに
「……」
気を使われる筈の客人が熟睡していたのでは、話にならないじゃないか。
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