第5話

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これから迎える夜のことを考え、いつもより念入りに身体を磨いた。 しかしそれは、『長湯』とまではいかない程度。 髪を乾かしたり、化粧水をつけたり、その後のお手入れに多少時間はかかったかもしれない。 招いていないとはいえ、客人を部屋にひとり待たせるのはどうかと思った。 だから、なるべく早く戻るように急いだつもりだった。 彼がここにとどまるにしろ、帰宅するにしろ、私が部屋に戻らないことにはどうにもならない。 そう考えていた。 ――なのに 「……」 気を使われる筈の客人が熟睡していたのでは、話にならないじゃないか。
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