第5話

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「……入るけど」 「うん。じゃあ、入ってきなよ。待ってるから」 「……」 見上げる私に軽くキスを落とした後、スッと身体を離した彼。それにあわせて、絡めたばかりの腕を解き、下におろした。 「お邪魔します」 自由になった彼は、私を玄関にひとり残し、さっさと中へ上がり込む。 「……」 次々と展開していく事態についていけない私。ただ呆然と玄関に立ち尽くす。 「雛森。コート、どこにかければいい?」 「……クローゼット。適当にかけておいて」 姿の見えない彼が投げかける言葉に答え、ようやくパンプスを脱いだ。 「寒いね。エアコンつけようか」 「……」 ……さっきのキスの意味は?
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