第5話

6/38
前へ
/38ページ
次へ
運転席のドアの開閉の音が聞こえる筈だった。 しかし。 私の意に反し、聞こえてきたのは ――…ガチャ。 と、車にロックがかけられる音。 「……」 足は止めない方がいい。と判断した。 私の後ろをついてくる足音は彼のものではない。 もしそうだとしても、途中でどこかに消える筈だ。 そう自分に思い込ませ、アパートの階段を静かに上がると、バッグから鍵を取り出し、一番奥の玄関扉の前に立った。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2234人が本棚に入れています
本棚に追加