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運転席のドアの開閉の音が聞こえる筈だった。
しかし。
私の意に反し、聞こえてきたのは
――…ガチャ。
と、車にロックがかけられる音。
「……」
足は止めない方がいい。と判断した。
私の後ろをついてくる足音は彼のものではない。
もしそうだとしても、途中でどこかに消える筈だ。
そう自分に思い込ませ、アパートの階段を静かに上がると、バッグから鍵を取り出し、一番奥の玄関扉の前に立った。
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