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かけられる言葉に答えることなく、視線をあわせることもなく、彼に背中を向けたまま壁にあるスイッチに手を伸ばし、明かりをつける。
「……雛森」
不意に名前を呼ばれ、つい振り返ってしまったのは、今まで普通に話していた彼の声が、ほんの少し低くなったから。
――あ。
と、思った時には、もう遅かった。
「……」
掠めるように奪われた唇。
「……っ」
すぐに深くなった口づけに戸惑い、冷たくなった彼のスーツの胸に両手をあてた。
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