第1章

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「そこなんだよね。あたしが帰ってきた事や、常識外の爆発。当然サタンたちも知っているはずなんだけど、中々接触してこないンだよネ」 「己れの爆弾でほとんどカメラもモニターもぶっ飛ばしたからやん」と飛鳥が答える。 「森や役場、紫条家、地下。まだどこにでもあるじゃん。拓ちんが撃たれたとき、あいつは全島スピーカー放送も流していたし」 「そういえばそやな。寝てるんとちゃう? サタンも」 「まぁ……村田だって人間だからなー」  すると、後ろで話を聞いていた涼や宮村たちも入ってきた。皆、サクラが何を言いたいか分かった。  これまで、何か特別な事をすれば、サタンはすぐに接触してきた。サクラの復活、大爆発、事実上凶暴モンスターの全滅…… 運営側にとって衝撃的な事件はいくつも起きている。しかもサクラはわざわざ見つかりやすい場所で座って様子を見ている。しかし一向にサタンたちは接触してこない。 「飛鳥さんのときや拓さんが撃たれた時は、すぐにサタンの放送があったね」と涼。 「これだけの事だ。把握していないなんて事はないだろうよ。確かにサクラ君のいう通り、異常だな」と片山も話に入ってくる。 「取りたくても、手がないって事はあるんじゃなくて?」と田村。彼女はインスタントコーヒーを飲んでいた。 <死神>の数は10人前後だろう。あの猛獣投入は、間違いなくサタンたちの隠し玉だ。散々地下を歩き回ったサクラたちや、捕まった涼や田村も、あんな猛獣たちが居るような気配を感じたことがない。あれだけ凶暴な猛獣を管理するのは大変だったはずだ。 「アレちゃうん? ウチらが攻略した<モンスター・パニック>のエリアに隠されとったとか?」 「厳密には攻略したのはユージさんだけどね」と宮村。 「ありえなくはない。ユージが来てくれたからワリと短時間でクリアーしちゃったけど、本当はあたしたち総力戦で挑まないといけないくらいの規模だった。確かにありえる話だけど、計算は合わないンだよね」  そういうとサクラは、飛鳥から返してもらった自分の携帯で地下エリアのデーターを出し、それをじっと眺める。  もし、あの<モンスター・パニック>でさっきの猛獣たちを投入したとすれば、拓を含め全員フル武装で挑んだとしても、あの<モンスター・パニック>を完全クリアーすることはできないだろう。いくら拓がいても、だ。
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