28人が本棚に入れています
本棚に追加
自分の部屋へまだ帰りたくないあたしは、コーヒーを入れてダイニングの椅子に座る。
帰ってくる車の中でこのマンションを出ることを考えた。
出てしまえば、ここでこんなふうに3人でまったりすることはなくなるだろう。
寂しくなる?
それは間違いない。
手放したくないと思っている自分を嘲笑(わら)いつつ、心の中では別れの算段をしているあたし。
とりあえずは、明日の予定を確認だ。
「コウ君、明日、事務所行く時に、寄り道して送ってくれる?」
「はい。明日も早いんですね。」
「うん。お願いします。」
明日は閉店まで帰らないかも。
この2人に、25時にあたしの迎えに来てもらうわけにはいかない。
言えば、自分の時間を減らしてでも、車を出してくれるだろう。
今は黙っとこう。
うまく考えなくちゃ。
「ハルさん、明日もタケノコ仕事?」
「ううん、ちょっとお店のことで用があるんだ。」
「そっか。今日はウマかったなー。」
「ありがと。よかった。明日も作るけど、食べる?」
パッと顔を上げて、コウがあたしを見た。
「ていうか、無理にでも食べさせちゃうからね。あはは。」
あたしは宣言して、席を立つ。
カップとソーサーをを洗って、片付けて、オヤスミナサイをした。
最初のコメントを投稿しよう!