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「送るよ。」 ヨウジが階下から声をかけてきた。 いつのまにか降りていたのか。 春野を抱いたまま階段を下りて、車に乗った。 バックを持ってきたテツに、礼を言う。 「助かったよ。カズシにも。怪我が治るまで店を頼む。」 “はい”といいながらテツはドアを閉めてくれた。 春野のことになると、俺は失敗ばかりだ。 ヨウジに言われなければ、取り返しがつかなかったかもしれない。 大切なものを、俺は軽々しく考えてた。 自分の経験を当てはめて、こんなもんだろう、と。 春野は他の女達とは違う。 わかっていたはずなのに。 今だって、春野は許してくれているのか? 不安な気持ちで、春野を抱き締め続けた。
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