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「そういえば、聞いてくださいよ。」
タイさんが不満顔。
「なんだよ。」
「コウの奴、自分ばっかりいい思いしてんですよ。」
またオレ?
「ハルさんがね、俺達に、“心配かけてごめんね”って言ってくれたんすけど。」
「ふんふん。」
「オレは、“全然オッケーっすよ”って言いましたよ。そういうもんでしょ?」
「まあ、そうだな。」
「こいつは、なんて言ったと思います? “すっごく心配したから、お詫びにシチュー作ってください”ですよ?」
「ほう。」
「そしたらハルさんが、コウに抱き付いて泣いちゃったんですよ。羨ましい事に。」
「やるな、コウ。」
「何でですか? なんでハルさんは俺に抱き付いてくれないんだ?」
のた打ち回るタイさん。
オレは、そんなつもりはなかった。
ただ、自分の気持ちを言っただけだ。
「や、俺なんかただの電柱ですから。」
「ただの電柱が、抱き返すか?オレは見てたぞ!」
タイさん、しつこい。
「だって、ハルさんが倒れそうだったから。」
「はあ?」
「ハルさんの体って、すごく柔らかくて掴み処がないって言うか、崩れそうっていうか。つい抱きしめたくなるって言うか。」
「柔らかい?」
「ハイ、見かけと違って、体がすごく軽くて、あんな柔らかい肌の女の人を今まで見たことも触ったこともないです。」
「お前もそう思ったか?」
テツさんが喰いつく。
「やたら柔らかいんだよな。ハルちゃんは。」
「なんだよ、テツ。触ったことあんのか?」
ヨウジさんチェックが入った。
「店で倒れた時ですよ。この間。」
「あー。ストーカー見しててハルをキャッチしたヤツね。」
見下し目線のヨウジさん。
「ちょっ、人聞きの悪い。それを言うなら、ヨウジさんの方が、よっぽど変態ですよ。」
「俺はハルのパパだし。いいんだよ。」
「うおー! オレもパパになりたい。」
「タイ、お前には、ムリムリ。」
話がずれていってるな。
まあ、いいか。
「柔らかいのはまあいいとして、ハルちゃんは、軽いのが気になるな。」
カズさんが、話に加わってきた。
この人は、医者ではないけれど、結構その方面に強い。
「骨が軽い? 骨の中身がスカスカかと思うよ。」
「あー、もしかして、4年くらい、ほとんど日光浴びてないのって問題?」
ヨウジさんがマジ顔になってる。
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