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「じゃ、切るよ。」
「うん。」
シャキン、と音がして、白くみえる部分が増えた。
「ハルちゃん、これ買ってこようか?」
「ううん、鞄に入ってる。」
「準備いいね、さすが。」
「ふふ。」
「ちょっとシミるよ。」
「う゛-。」
カズが器用に包帯をくるくる巻いていく。
「ハイ終わり。このまま休んでなよ。」
オレが用意した毛布でカズがすっぽりとハルちゃんを包んで横にした。
「痛み止め、持ってるなら飲む?」
「平気、ありがと。」
ハルちゃんの顔色が悪くなってる。
いつも持ち歩いている鎮痛剤を飲めばいいのに。
じゃあ、と言って俺たちは階下へ降りた。
店はさっき俺が閉めてしまった。
ハルちゃんに聞こえないように俺達はキッチンで話す。
「消毒だけでいいのか?」
「傷はな。」
「痛いんじゃないか?」
「多分、今は歩けない位だと思う。」
「やっぱり、山岡に行った方がいいんじゃないか?」
「行きたがらないよ。あの娘は、中川に知られたくないし、先生にも会いたくないいんだよ。」
「どうしたんだ?」
「迷える困ったちゃん?」
なぞなぞか?
「訳が分からん。」
「んー、愛されるほど、不安が増す?」
「あ、それ。またネガティブ病?」
「すげえネーミングだけど、合ってる。」
参ったな。
こういう時はやっぱり、ヨウジさんか?
それとも中川さんか?
「ヨウジさんに丸投げだな。」
カズがきっぱり言う。
はい、賛成。
オレは携帯をタップした。
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