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「笑うな。春野がなかなか好きって言ってくれないから、俺は焦ってたんだよ。」 「ふふ。」 「思い出した。あの時から春野は何回も続けてイケるようになったんだよな。」 「ぎゃっ、いきなり何てことを言うの。やめてよ。エロオヤジ。」 「春野は、あの夜を憶えていないのか?俺は忘れられない。」 離れようとする体を捕まえて、額に、まぶたに、頬にキスをした。 少し赤く染まった春野の頬。 喰らいつきたい衝動を抑えた。 「春野。愛してる。」 今度はてのひらにくちづけ。 「春野は?」 「タツヒコ。」 手首をつかんだまま、軽く唇を吸う。 「俺が金を使ったとしたら、好きな女の心を手に入れるため。普通だろ?」 「俺はなんだってやるし、いくらでも金を使うさ。」 「春野の望む形とはかけ離れていても、他人から見たら不自然でも俺は気にしない。」 「人には好きなように言わせておけ。大半はやっかみだ。」 「春野は堂々と俺の恋人をしていろ。」 「春野、言ってくれ。」 今、どうしても春野の言葉が欲しい。 俺が好きだと、愛していると言ってほしい。 「春野はタツヒコが一番好き。タツヒコのためなら、何でもやるよ。」 「何でも?」 心が躍る。 「うん。」 「なら、頼みがひとつある。」 「なあに?」 春野の両手を包んで、唇をあてた。 「俺と結婚して、中川春野になってくれ。」 予想通りに、春野の口がぽかっと開いた。
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