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エトリアの話に驚かされる一方で、あいなは自分のことを考えた。
(シャルとルイスを好きだって感じたのは間違いじゃなかった?でも、シャルはそんな私は嫌いだって言ってた……)
そこでひとつの疑問が湧く。あいなはエトリアの胸から離れ、彼女の顔を真剣な眼差しで見つめた。
「『愛』ってどういう感情ですか?ドキドキしたら愛ですか?そばにいて安心する相手のことですか?私には、そういうのがよく分からなくて……」
うつむくあいなに、エトリアは穏やかに答えた。
「愛は誰の心にもあります。そして、それがあなたの今後の運命を大きく左右するキーとなりましょう」
エトリアの声に深刻さがにじむ。
「もう時間がありません。あなたの愛が誰に向いているのかを見極める時が来ています」
「そんなこと言われても、私は……!」
「あなたは今、エスペランサの魔法によって体から魂を抜き取られています」
「魂を!?」
「仮死状態とも言います。今は私の魔力で会話が可能ですが、もうじきエスペランサの力でそれも出来なくなります。彼女はあなたの潜在能力を掠(かす)め取り、私以上に魔力を高めているのです」
魔法使いの魔力を高めるほどの潜在能力とは何なのか、一般的人類として生きてきたあいなには全く理解出来なかったが、今はそんな質問をすることすら許されない雰囲気である。
「24時間以内にエスペランサに打ち勝ち、自身の魂を取り戻して下さい。そうしないと、あなたの命は本当に終わってしまう…!」
「そんな!私は普通の人間です!魔力を持った人なんかに太刀打ち出来るわけありません!」
「いいえ、出来ます。あなたなら」
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