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「はい。リバイバル発動と同時に、私はあいな様への想いを失うことになります」
「どうしてそんな平然としていられる!?想いだけじゃなく命まで失うかもしれないんだぞ……。そんなの俺は反対だ!」
シャルはルイスを激しく揺さぶり、考えを改めるよう強く説得した。
「移魂の儀以外に何か方法はないのか!?お前は医者だろ?どんな病でも簡単に治してやると言ってくれよ……!」
「アレも嫌、コレも嫌、と。あなたは本当にワガママなお方ですね。医術は万能ではないのですよ」
言葉とは裏腹に、ルイスは優しい表情でシャルを見た。
「これが最終手段です。調べ尽くして行き着いた結論なのです。一妻多夫制度が制定されたとしても、こうなってはもう無意味。かといって今この状況であいな様を抱くのにも抵抗がある。でしたら、移魂の儀を受け入れて下さい」
「そんな……!」
ルイスの肩をつかみその胸に頭をつけ、シャルは涙を流した。母親が亡くなった時に支えてくれたのは他でもないルイスだった。ルイスにその気はなかったかもしれない、それでもシャルは、勝手にそう思っていたかった。
「嫌だ……!俺はもう大切な人を亡くしたくない!あいなにもお前にも、ずっとそばにいてほしいんだ!」
「なんです?その『もう死んだ』みたいな扱いは。私はそう簡単に死にません。シャル様とハロルド様もよくご存じのはずでしょう?」
昔ハロルドが寄越(よこ)した人型魔物の件を持ち出し、ルイスはニヒルな笑みを浮かべた。
「普通なら死んでいたあの状況で生きていたのは不思議だと医者に言われました。生命力は人並み以上にあるみたいですよ、私は」
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