83人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………」
肯定も否定もせずうつむくルイスに、シャルはおそるおそる視線を向けた。
「どういうことだ?」
その疑問に答えたのはハロルドだった。
「おかしいと思ったんだよ。そんな大々的な儀式をなぜ王子ともあろうシャルが知らされていなかったのか。それは移魂の儀で犠牲を払うのは王子の専属執事の役割だと定められているから。そうなんだね?ルイス……」
「はい。古(いにしえ)の時代はどうだったのか定かではありませんが、ハロルド様のおっしゃる通り、近代、移魂の儀とリバイバルはロールシャイン王国の王位継承者につく専属執事にしか継承されない決まりになっていました。エトリアの指輪をはめる者――つまりシャル様がリバイバルの代償に大切な想いを失うなど本末転倒ですし、決してあってはならないことですから」
たとえ望んでも、シャルはリバイバルを使うことは出来ない。
「そんな……。お前は初めから全て知った上であいなのそばにいたのか!?」
「ここまで最悪の事態になることは避けたかったですが、常に起こりうることとして頭の片隅にはありました」
「俺が執事に戻れだなんて言ったから……」
自分の恋が、結婚願望が、大切な人に悲しい選択をさせることになった。そう感じシャルは自分を責めたが、ルイスは静かに首を横に振った。
「あなたの執事で居させて頂けた。そのおかげで私はあいな様に出会うことが出来たのです。カロス様にも感謝したいと、今は心から思います」
最初のコメントを投稿しよう!