10 永久(とわ)の誓い

76/134
前へ
/669ページ
次へ
「何してんのそれ。新手のおまじない?つーか暗い」  床に座るあいなをまじまじと見て、龍河は部屋の電気をつけた。 「寒いから」 「こんなに暑いのに?ちょっと待ってて」  ベッドに行くようあいなを促すと、龍河は階下へ水枕を取りに行った。風邪薬と水を持ってすぐに戻ってくる。  「薬、ありがとね」 「城暮らししてる間に弱くなったな。健康だけが取り柄だったんじゃないっけ?」 「私もそう思ってたよ」 「姉ちゃんがそんなんだと、なんか調子狂う。いつもの能天気さはどこいったよ」  そっけなく言いつつ、龍河は姉のそばを離れない。床にあぐらをかいて彼女の様子を見ている。 「もし私がこの家の本当の子供じゃなかったら、龍河はどうする?」 「は?」  姉らしからぬ深刻な声音と質問の内容に、龍河は面食らった。 「何?姉ちゃん、しばらく見ない間にドロドロの愛憎劇にでもハマり出した?基本ラノベ好きじゃなかった??」 「ううん、何でもない。今の忘れて」 (龍河、やっぱり養子のこと知らないんだ……。お父さん達、龍河にも話してないって言ってたもんね……)  寂しげな姉の表情に気付き、龍河は質問を返した。 「姉ちゃんはどうなの?」  話はもう終わったと思っていたので、そう訊かれたことにあいなは少し驚いた。
/669ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加