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「何してんのそれ。新手のおまじない?つーか暗い」
床に座るあいなをまじまじと見て、龍河は部屋の電気をつけた。
「寒いから」
「こんなに暑いのに?ちょっと待ってて」
ベッドに行くようあいなを促すと、龍河は階下へ水枕を取りに行った。風邪薬と水を持ってすぐに戻ってくる。
「薬、ありがとね」
「城暮らししてる間に弱くなったな。健康だけが取り柄だったんじゃないっけ?」
「私もそう思ってたよ」
「姉ちゃんがそんなんだと、なんか調子狂う。いつもの能天気さはどこいったよ」
そっけなく言いつつ、龍河は姉のそばを離れない。床にあぐらをかいて彼女の様子を見ている。
「もし私がこの家の本当の子供じゃなかったら、龍河はどうする?」
「は?」
姉らしからぬ深刻な声音と質問の内容に、龍河は面食らった。
「何?姉ちゃん、しばらく見ない間にドロドロの愛憎劇にでもハマり出した?基本ラノベ好きじゃなかった??」
「ううん、何でもない。今の忘れて」
(龍河、やっぱり養子のこと知らないんだ……。お父さん達、龍河にも話してないって言ってたもんね……)
寂しげな姉の表情に気付き、龍河は質問を返した。
「姉ちゃんはどうなの?」
話はもう終わったと思っていたので、そう訊かれたことにあいなは少し驚いた。
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