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――愛さなければいい。あなたには必要がないことよ。だって、捨てられた命なんだもの。どうなったって世界には何の影響も与えないわ。それに、愛を知らないあなたが人を愛せる?無理よ。あなたは誰かに関わるとその分誰かを傷付ける。だから、ね……?
「う……。あ、あ……!」
これまで体験したことのない頭痛があいなを襲った。割れるのではないかというほど激しく痛む。心臓も恐ろしく音を立てた。
(私は消えたい。ママからもシャルからも捨てられた、不要な人間だから……)
――そうよ、それでいい!絶好の素材だわ。私の糧になりなさい!
体が黒い光に覆われると同時に、あいなの呼吸は止まった。
声がしていたのはあくまであいなの頭の中だけ……。静かな夜、神蔵家であいなの異変に気付ける者は一人もいなかった。
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