10 永久(とわ)の誓い

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 エトリアは語った。 「はるか昔、私達が生を受けた頃、グランツェールは荒れ果て、どこもかしこも戦だらけの土地でした。魔法は人類を救うたったひとつの手段であり希望だとも言われていた当時、私とエスペランサは神より魔法の力を授かったのです。世の中の行く末を憂いた両親が自分達の命と引き替えに神頼みの儀式を行い、私達を魔法使いにしたのです。  結果、私達姉妹は世界でたった二人きりの魔法使いとして人々から崇(あが)められ、世界を繁栄させる使命に気付くこととなりました」  とはいえ、どのように世界を繁栄させればいいのか、幼い少女二人には分からなかった。日々魔法の訓練を重ねるエトリアとエスペランサに向け、周囲の人々はこんな提案をした。 「私は国作りを、エスペランサは一人でも多くの魔法使いを養成するべく魔女村を作る、そういう話に行き着きました。二十歳になると同時に、私達姉妹はそれぞれの役目をまっとうするため別々の人生を生きました」  初代ロールシャイン王国の女王エトリア。しかし、女性一人で国を大きくしていくのは限界がある。子孫を増やさなければ国は機能しない。そこでエトリアが考え制定したのは、複数の夫と契りを交わす一妻多夫制度だった。  それまで黙って話を聞いていたあいなは、思わず口を開いてしまう。 「ずっと気になっていたんです。エトリア様はどんな人と結婚したのか……」 「私は十人の夫を受け入れ、彼らの子供を産みました」 「十人!?それって、あの……」 「どの人のことも平等に愛していました。皆容姿や性格は違ったけれど、それぞれに短所と長所があり、全てをひっくるめて愛しいと言える相手でした」 「皆を、平等に……」
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