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「あいな様の元へまいりましょう」
「ルイス、お前……」
体を震わせ、シャルは訊いた。
「あいなのこと、本当にもう忘れたのか?」
「忘れてなどいませんよ。リバイバル発動前のことはしっかり記憶していますし、彼女は私の初恋の女性であることに変わりはありません。ただ、今は、彼女に対しどのような感情を抱いていたのかを思い出すことが出来ません」
「あんなに好きだったのにか!?」
「それがリバイバルなのです。シャル様。代償が大きい分、リバイバルで再生した物は二度と壊れないのです。これであいな様と想いが通じればあなた達は一生添い遂げることが出来ます。良かったですね」
冷静にそう語るルイスは、本当にあいなへの恋愛感情を失っていた。シャルはたまらず口元を押さえる。
「こんなの、間違ってるだろ…!」
二人のやり取りを見守っていたハロルドが、シャルを促した。
「シャル、早くあいなの所へその指輪を……!」
「その必要はないわ」
儀式の間に、よく知る少女の声が聞こえた。三人は勢い良く出入口の扉を振り返る。そこには、あいなの姿があった。
「あいな!お前、無事だったのか!?」
「気配なく現れるからビックリしたよっ。僕の占い外れたんだね、本当に良かった!」
シャルとハロルドが喜びの表情であいなに近付こうとすると、ルイスが前に出てそれを制止した。
「お下がり下さい。あいな様のお姿ですが彼女はあいな様ではありません」
「何だって!?」
「どういうことなの?ルイス…!」
動揺する二人を魔法の壁で護り、ルイスはあいなと対峙した。お互いの首には、昨日お揃いで買った桜色の石がついたネックレスが悲しげに光を放っている。
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